2010年8月23日月曜日

むすめふさほせうつしもゆ17

む 寂蓮法師「村雨の露もまだひぬまきの葉に 霧立ちのぼる秋の夕暮れ」
す 藤原敏行朝臣「住の江の岸に寄る波よるさへや 夢のかよひぢ人目よくらむ」
め 紫式部「めぐりあひて見しやそれとも分かぬまに 雲がくれにし夜半の月かな」
ふ 文屋康秀「吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風を嵐といふらむ」
さ 良暹法師「さびしさに宿を立ち出でてながむれば いづこも同じ秋の夕暮」
ほ 後徳大寺左大臣「ほととぎす鳴きつる方を眺むれば ただ有明の月ぞ残れる」
せ 崇徳院「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ」
  ……………………………………………………………………………………
う 源俊頼「憂かりける人を初瀬の山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを」
う 相模「恨みわび乾さぬ袖だにあるものを 恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ」
つ 大江千里「月見れば千々に物こそ悲しけれ わが身ひとつの秋にはあらねど」
つ 陽成院「筑波嶺の峰より落つるみなの川 恋ぞつもりて淵となりぬる」
し 平兼盛「忍ぶれど色に出でにけりわが恋は 物や思ふと人の問ふまで」
し 文屋朝康「白露に風の吹きしく秋の野は つらぬきとめぬ玉ぞ散りける」
も 順徳院「ももしきや古き軒端のしのぶにも なほあまりある昔なりけり」
も 行尊「もろともにあはれと思へ山桜 花よりほかに知る人もなし」
ゆ 曽禰好忠「由良の門(と)を渡る舟人かぢを絶え 行方も知らぬ恋の道かな」
ゆ 源経信「夕されば門田の稲葉おとづれて 蘆のまろやに秋風ぞ吹く」

0 件のコメント: